高校教師の立場から見えてくるもの

 

今回インタビューさせていただいたのは、教員2年目、千葉県内の高校で英語を教えている S さんです。

生徒に自分で考えさせ、納得させる

S さんの勤務する高校は、生徒の 6 割が大学に進学し、 2 割専門学校に進学、残り 2 割が就職をするそうです。
S さんはそういった生徒たちのため、 AO 入試や就職活動の対策のための模擬面接をしていると言います。
生徒たちに“志望の動機”“自分の長所と短所”“専門的分野に関する質問”などを中心に、かなり深く聞くというSさん。

いわゆる“圧迫面接”と呼ばれるものに近い、鋭い切り返しをすることもしばしばです。
そうすると大抵の生徒は答えられずに口ごもったり、慌てたりしてしまいます。
しかし、厳しい面接をした後は、生徒に具体的なアドバイスをたくさんし、アフターケアをしっかりと行います。

「答えは与えませんが、アドバイスはたくさん与えます。生徒が自分で考えて、自分自身に何が足りないのかがわかるようにするためです。それが導く側の責任だと思っています。アドバイスするときは、『これはあくまで正解ではなくて先生からのアドバイスだから、このことばをそのまま使っちゃだめだよ。ちゃんと納得して、自分のことばで(志望動機などを)作り上げなさい』と言います。」

「生徒に『先生に訊けば全部答えを教えてくれる』と思ってほしくないんです。自分で考えて、腑に落ちないと、いくら答えを教えられても意味がないですから。“生徒が『こんなふうに考えてみたんだけど、これってどうかな?』と訊いてくるのはいいけど、『先生、一緒に考えて』って頼ってくるのはだめ”というポリシーを持って臨んでいます」

Sさんのお話を聞きながら僕も、自分で考え、納得しなくては、いくら周りから正解を与えられても意味はないのだと思いました。
就活をする際、大切なことは周囲に正解を求めるのではなく、自分に立ち返り、納得して進路を選ぶこと。
「親がこう言ってるから」「周りがこうやっているから」ではなく、「自分は何がしたいのか?」「どう在りたいのか?」を明確にするべきなのだと改めて思いました。

導くために学び続ける

S さんは学生時代から教師を志し、大学卒業後すぐに教師になったため、一般的な就職活動は経験しておらず、一般企業での就労経験も当然ありません。
それゆえに、自分が知らない分野の指導をする苦労も多いと言います。
「自分が一般的な就職活動をしていないため、就職活動の本来の厳しさを体験していないので的確なアドバイスができているかと疑問に思うことがあります。さらに、“英語”と“学校教育”という 2 つのフィールドでしか生きてこなかったため、自分の専門外の分野に進学・就職を考えている生徒の模擬面接をする際は、生徒にとって最適な対策になっているのかが気にかかり、その分野のことは模擬面接前に必ず勉強します。導く側であるからこそ、日々学び続けてさまざまなことを知らなくてはならないと実感しています」

Sさんの言うように、自分が知らないことは人に教えられません。
そして、幅広い知識や経験を持っていなければ、生徒ひとりひとりに合った教え方はできないのだと思いました。
普段から僕は、さまざまな知識は人が「今、どこにいて、どういう状況にいるのか」を的確に把握する、いわば地図の役割を果たしてくれると考えています。Sさんのお話を聞いて、自分がどこにいて、どうすれば最適な場所へ向かうことができるのかを知るために、さまざまなことを学び続ける必要性があるのだと感じました。

教師という、他者を導く立場にいるからこそ見えてくるものがあると思います。
就活生というひとつの立場だけでなく、幅広い立場から就活を見詰め直してみると、自分の道が見えやすくなるかもしれません。

RESEARCHER
SSI 藤井 健史 Takeshi Fujii
SSI 藤井 健史 Takeshi Fujii
2013年に明治大学を卒業し、現在は自分の道を模索しています。卒業後、食品の会社に入社しましたが、自分に合わないと感じ 1年で退職しました。 そんな「会社とのミスマッチ」を経験する人がひとりでも少なくなるように、調査に励んでいきたいと思います。
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